「就職氷河期」。

この言葉は就職活動を行う方は一度は聞いたことがあるのではないだろうか。

意味は文字通り「社会的に就職難となった時期」の通称である。

バブル崩壊後に就職が困難となった時期に生まれた造語だ。
1993年から2005年卒が該当すると言われています。

1990年1月より株価や地価などの暴落が起こり、景気が急速に後退した。当然、企業の多くは人件費を圧縮するために、新規採用の抑制を始めた結果、有効求人倍率が下がり、就職活動を行っても就職できないなど多発した。

今回は、就職氷河期について記事をまとめてみよう。
これから就職活動予定の就活生は是非参考にしてほしい。

「就職氷河期」といえる時期は3 つある。

①バブル崩壊

1980年代後半から起こったバブル景気の急激な後退のこと。

バブル期に高騰していた株価や地価が急落した。

②ITバブル崩壊

2000年代前半に起こったアメリカ合衆国のITバブル崩壊と共に景気が急速に後退した一連の出来事。

③リーマンショック

2008年9月15日に、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングス(Lehman Brothers Holdings Inc.)が経営破綻したことに端を発して、連鎖的に世界規模の金融危機が発生。

一言では言い表せられないが、それぞれ要因は違えど景気悪化に伴う企業の採用意欲の低下によって就職困難な状況となっている。

バブル崩壊、ITバブル崩壊、リーマンショックの時には「働きたくても働く場所がない」というまさに悪夢ような状況が発生している。

そのような就業意欲があるにもかかわらず働けないことから、ひきこもり・ニートの増加、更には精神的な負担も大きくなり鬱の発症など多くの問題がでてきた。

それだけではない。不安定な雇用事情は、結婚や出産率にも影響し未婚率の上昇や出産率の低下も招いた。

ただ、もちろん全く求人がなかったわけではない。

求人はあるが、競争率が高い状況であったということだ。

以前の記事でも紹介したように景気が良くなると、求人数が増えて倍率は高まる。

逆に、不景気になれば求人数が減って倍率が下がる。

●有効求人倍率が「1」より大きくなるほど求人数(仕事の数)が多い(売り手市場)
●有効求人倍率が「1」より小さくなるほど求職者(仕事をしたい人の数)が多い(買い手市場)

就職氷河期は、まさに(買い手市場)であったということだ。

求人はあるが競争率があがる。狭き門となる。

更に、企業側も採用不安から正社員での募集ではなく、非正規としての募集に切り替えるケースも多い。

就職氷河期に社会人となった世代では、非正規雇用の就職しか叶わなかった人も数多くいるだろう。
※注記:非正規とはパート・アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託社員などを指す

日本では古くから終身雇用制をとる企業が多くあり、正規と非正規によって待遇などに差がでていた。

補足するが、2020年4月1日から近年、同一労働同一賃金などの声が上がり、正規と非正規との差をなくす動きもでてきていることも忘れてはいけない。

正規と非正規の「差」を具体的に挙げよう。

・キャリアの差(企業研修や外部研修などへの参加など)
・給与面の差
・賞与支給の差
・職務範囲
・職責の差 etc

これらが同一労働同一賃金によって「差」をなくす動きとなるのだが、就職氷河期ではまさにこの「差」が生まれていた。

上記のような「差」がある中で就業してきた方にとっては、キャリア形成がしにくく正規とのスキルの差が生まれ、結果として正社員を希望し転職したくとも正社員になれない「非正規ループ」に陥ってしまうケースが多発した。

このような就職氷河期と呼ばれる時期には、良くも悪くも変化が起きやすいのも特徴だ。

例えば、

・新しいサービスの誕生(新しい職種の登場)
・働き方の見直し(職場環境の整備etc)
・就職希望業界に対する求職者側における希望の変化 など。

漠然と「安定」というイメージが強い公務員などへの就職希望者の増加もあるだろう。

経営資源でもある「ヒト」。

日本は今、人口減少・少子高齢化・労働力人口の低下など、実りある資源が確実に減り続けている。
就職氷河期であっても、そうでなくても、「ヒト」を大切にする会社は離職率も低く、着実な成長曲線を歩むものと信じている。